従業員の行動を記録するのに最適なアプリ

イギリスの作家ジョージ・オーウェルがインド警察に雇われていたこと、またスペイン内戦に関わっていたことは誰もが知っています。オーウェルは自分の経験や出会った人々の特徴を基に本を執筆したのです。最後に世に出た小説「1984」で、オーウェルはビッグ・ブラザーを登場させます。ビッグ・ブラザーとは、人間のすべての行動や活動を監視し、生活のあらゆる面をコントロールする特異な登場人物です。ビッグ・ブラザーの魂を持つ存在が21世紀のいつ頃誕生するのか、オーウェルは想像すらできませんでした。

中小企業も大企業に後れを取らない

AT&T、ADT、Digital Witnessも、従業員を監視し行動を記録したいという中小企業のニーズに対応しました。AT&Tは、大企業が利用している機能の一部を中小企業の経営者に提供する遠隔監視システムを開発しました。パソコン、携帯電話、PDAなどのJavaアプリケーションが実行できインターネットに接続できるデバイスを利用して、職場で起こった出来事すべてを中央サーバーに記録するシステムです。遠隔監視アプリケーションは、主に機械や複雑なシステムの動作を監視するために利用されていますが、従業員の行動を録画するためにも利用されています。

ワークステーション1台に対して、監視カメラ1台当たり約200ドル~、回転カメラなら350ドルに加えて、カメラ1台当たりのアプリケーション使用料が月額10ドルという価格設定のため、魅力を感じる経営者が多いシステムとなっています。遠隔監視にはブロードバンドインターネット接続が必須ですから、接続障害またはIPv6(インターネット・プロトコル・バージョン6)のパケット保持障害に対する耐性はありません。ADTとDigital Witnessは、若干高価な基本パッケージを使用してこの分野に参入していますが、ネット接続が切断した後でも録画を継続できます。接続が復活するまでデータをローカルのハードディスクに保管して、保管されたデータをサーバーに送信する仕組みです。

どのような場合でも、シンプルが一番です

ソフトウェア企業も、従業員を監視する最良のシステムを開発する事業に参入しています。ソフトウェア企業の目標とは、会社側がコンピュータの使用状況をすべて把握できるアプリケーションを作成することでした。たとえば、従業員が画像描画ソフトウェアを使って作業するグラフィックデザイナーの場合、監視ソフトウェアは、アプリケーション内で実際にアクティブな動作があった時間と、プログラムがアイドル状態にあった時間を記録します。

ソフトウェアパッケージの中で最も有名で、宣伝を目にする機会が多いのは、Spectorsoft社の製品です。Spectorsoftでは、各々特別なニーズに合わせたパッケージを4つも提供しています。Spector Proは主力製品で、市場で最も完成度の高いパッケージです。このアプリケーションは、チャット・電子メール・Webサイト・検索項目を記録し、「違反」があると即座に電子メールや携帯電話などのデバイスにメッセージが送信されます。Spector Proは、たとえば従業員が競合他社に秘密を漏らしたり、使用禁止のアプリケーションや会社に損害を与える可能性のあるアプリケーションを使用したりする場合、監視対象のコンピュータを乗っ取る機能もあります。